手・足のしびれや痛みは
放置してはいけません
手や足がしびれたり感覚が鈍くなったり、細かな手作業が困難になった場合、できるだけ早く医師に相談することが重要です。しびれは脊椎や脊髄の疾患、脳出血や脳腫瘍などによって引き起こされている可能性もあります。
また、痛みに関しても、しびれと同時に起こっている場合や単独で現れている場合にも、放置せずに必ず受診するようにしてください。
手や足のしびれ・痛みは何科を受診する?
手足の痺れや痛みの原因として、整形外科関連の疾患や脊椎・脊髄の疾患が考えられます。
これらの疾患に対する正しい知識と経験が豊富な専門医への受診をおすすめします。
こんな時はすぐ救急車を!
手足の痺れや痛みの原因として、整形外科関連の疾患や脊椎・脊髄の疾患が考えられます。
これらの疾患に対する正しい知識と経験が豊富な専門医への受診をおすすめします。
手足のしびれ・痛みで病院に
行くときに伝えること
手足のしびれ・痛みがある患者様には、問診で以下のようなことをお伺いします。
- いつから始まった症状か、症状が強くなっていないか
- 生活の中で症状に変化はあるか
- 現在の生活スタイル
- しびれの種類(チクチク・ジンジン・ピリピリ)、痛みの強さ
- しびれや痛みの他に症状があるか
- 血縁者に同じ症状、疾患にかかった方はいないか
- 今までに発症した疾患や持病はあるか
手足のしびれの原因
頚椎症性神経根症
頚椎症性神経根症は、頚椎(首の椎骨)の変性や障害によって神経根(脊髄から分岐した神経の枝)が圧迫されることで生じる疾患です。頚椎の変性は、加齢や頚椎の椎間板の退行性変化によって引き起こされることが一般的です。
症状
頚椎症性神経根症の主な症状は、頸部(首)から腕にかけての痛みやしびれ、または麻痺です。神経根が圧迫されることにより、その神経が支配している範囲に感覚異常や運動障害が生じることがあります。
具体的な症状としては、下記のようなものがあります。
- 首から腕にかけての痛みやしびれ(放射痛)
- 特定の動作や姿勢で症状が悪化することがある
- 麻痺や筋力低下、感覚障害(例: 手のしびれ)
診断
頚椎症性神経根症の診断は、患者様の問診や画像検査(MRIやレントゲン)によって行われます。
画像検査によって頚椎の変性や神経根の圧迫状態を確認することができます。
治療
治療の目的は、神経根の圧迫を緩和し、症状の軽減や機能の回復を図ることです。
保守的療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、筋弛緩剤、物理療法、リハビリテーション、姿勢改善などが含まれます。
手術療法
保守的な治療が効果的でない場合や、神経根の圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には神経根解放手術や人工椎間板置換術などがあります。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の椎骨)の椎間板が損傷し、内部のゼリー状の核が外部へ突出する状態です。
これにより、周囲の神経根や脊髄を圧迫することがあります。
椎間板は、椎骨と椎骨の間にあるクッションの役割を果たしています。加齢や頚椎の負担、怪我などによって椎間板が変性し、繊維環と呼ばれる外側の組織が破れることで椎間板ヘルニアが発生します。
症状
ヘルニアが神経根や脊髄を圧迫すると、痛みやしびれ、筋力の低下、感覚異常などの症状が現れることがあります。
頚椎椎間板ヘルニアの一般的な症状には、以下のようなものがあります。
- 頸部(首)から腕にかけての痛みやしびれ(放射痛)
- 肩や腕の筋肉の低下や麻痺
- 頭を動かすと症状が悪化することがある
診断
頚椎椎間板ヘルニアの診断は、問診および画像検査(MRIやレントゲン)によって行われます。
画像検査によって椎間板ヘルニアの位置と状態を確認することができます。
治療
治療の目的は、神経圧迫を緩和し、症状の緩和や機能の回復を図ることです。
保守的療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、筋弛緩剤、物理療法、リハビリテーション、姿勢改善などが含まれます。
手術療法
保守的な治療が効果的でない場合や、神経圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には椎間板摘出術や人工椎間板置換術などがあります。
頚椎症性脊髄症
頚椎症性脊髄症は、頚椎(首の椎骨)の変性や障害によって脊髄に影響が及ぶ状態です。
頚椎の変性は、加齢や頚椎の負担、椎間板の退行性変化などによって引き起こされることが一般的です。
頚椎症性脊髄症では、頚椎の変性が進行し、脊髄に圧迫や障害を引き起こすことがあります。
圧迫や障害は、脊髄を構成する神経組織に影響を及ぼし、神経の伝達を妨げる可能性があります。
症状
頚椎症性脊髄症の症状は、以下のようなものがあります。
- 脊髄の圧迫による手や腕、脚の筋力低下や麻痺
- 歩行障害やバランスの悪化
- 痛みやしびれ、感覚障害
診断
診断は、問診および画像検査(MRIやレントゲン)によって行われます。
画像検査によって頚椎の変性や脊髄の圧迫状態を確認することができます。
治療
治療の目的は、脊髄の圧迫を軽減し、症状の軽減や機能の回復を図ることです。
保守的療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、筋弛緩剤、物理療法、リハビリテーション、姿勢改善などが含まれます。
手術療法
保守的な治療が効果的でない場合や、脊髄の圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には脊椎脊髄手術や人工椎間板置換術などがあります。
胸郭出口症候群
胸郭出口症候群(きょうかくしゅつぐちしょうこうぐん)は、頸部(首)から上肢(腕)にかけての神経や血管が胸郭(胸部)の出口部分で圧迫される状態です。胸郭出口は、首の鎖骨の下と第一肋骨の上にあたる領域で、そこを通る神経や血管が圧迫されることによって症状が現れます。
症状
胸郭出口症候群の症状は、以下のようなものがあります。
- 腕や手のしびれや痛み
- 上肢の冷感や発色の変化
- 手や指の力の低下や筋力の減退
- 肩や首の痛み
- 肩甲骨の動きに制限がある
原因
胸郭出口症候群の一般的な原因は、以下のようなものがあります。
骨や軟部組織の異常
鎖骨の骨折、鎖骨の形状の異常、肩甲骨の突出など。
筋肉の異常
首や肩の筋肉の緊張やけいれん、筋肉の異常発達(筋肥大)など。
肩峰下血管(上肢の動脈と静脈を通じる血管)の異常
血管の狭窄や先天的な異常。
診断
胸郭出口症候群の診断は、問診および画像検査(X線、レントゲンなど)によって行われます。
画像検査は、圧迫の原因となる異常な構造や組織の確認に役立ちます。
治療
治療の目的は、神経や血管の圧迫を軽減し、症状の緩和を図ることです。
保守的な治療では、身体の姿勢改善、物理療法、筋力トレーニング、痛みの管理などが行われます。症状が重度で保守的な治療が効果的でない場合や、血管の狭窄などが原因の場合には、手術的な処置が検討されることもあります。
肘部管症候群
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)は、肘の周囲の神経が肘の屈筋の筋肉やその他の組織によって圧迫されることで生じる疾患です。具体的には、尺骨神経(肘から手の指先までの感覚を担当する神経)が圧迫されることが一般的です。
症状
肘部管症候群の症状は、以下のようなものがあります。
- 手の指先から肘にかけての痛みやしびれ(放射痛)
- 手指の感覚の変化や麻痺
- 握力や指の運動の低下
- 肘周辺の痛みや筋肉の低下
原因
肘部管症候群の一般的な原因は、以下のようなものがあります。
筋肉の炎症や腫脹
肘の屈筋の筋肉が腫れたり炎症を起こしたりすることによって圧迫が生じる場合があります。
筋肉の異常発達
特定のスポーツや運動の反復動作によって肘の屈筋が過度に発達し、圧迫を引き起こすことがあります。
けんしょう(骨棘)の形成
肘の骨や関節の異常によってけんしょうが形成され、神経を圧迫することがあります。
診断
肘部管症候群の診断は、問診および画像検査(MRIなど)によって行われます。
画像検査によって圧迫の原因や程度を確認することができます。
治療
治療の目的は、神経の圧迫を軽減し、症状の緩和を図ることです。
保守的療法
休息、炎症を抑えるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、物理療法、装具の使用などを行います。
手術療法
保守的な治療で効果が薄い場合や、圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には神経解放術や組織の切除などがあります。
手根管症候群
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)は、手首の内側にある手根管と呼ばれるトンネル内で、中手骨と手根靱帯に囲まれた手根管内の正中神経が圧迫されることによって起こる疾患です。
症状
手根管症候群の症状は、以下のようなものがあります。
- 手のひら側(親指側)から中指、薬指、人差し指にかけての痛みやしびれ(放射痛)
- 手首を動かしたり、同じ姿勢を続けたりすると症状が悪化する
- 握力の低下や手の細かな動作が難しい
- 指先や手のひらの感覚の変化
原因
主な原因は以下のようなものがあります。
手根管内の組織の腫脹や炎症
手首の捻挫、関節炎、糖尿病などが原因で手根管内の組織が腫れたり炎症を起こしたりすることで、正中神経に圧迫が生じます。
手根管内の構造の異常
先天的な手根管の狭窄や変形、手根靱帯の肥厚などによって、正中神経が圧迫されることがあります。
診断
手根管症候群の診断は、問診および神経伝導検査などの特殊検査によって行われます。
神経伝導検査は、正中神経の伝導速度や機能を評価し、圧迫の程度や位置を確認するために行われます。
治療
手根管症候群の治療法は、症状の軽減と神経の圧迫を解消することを目指します。
保守的療法
手首のサポート、固定、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、物理療法、手首のエクササイズなどを行います。
手術療法
保守的な治療で効果が薄い場合や、神経の圧迫が重度である場合に検討されます。
手術では、手根管を広げるための手術(手根管解放術)が行われることがあります。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰椎(背骨の下部)の脊柱管内が狭窄し、脊髄や神経根に圧迫がかかることによって生じる疾患です。
症状
腰部脊柱管狭窄症の症状は、以下のようなものがあります。
腰痛や脚痛(放射痛)
脊柱管の圧迫によって腰やお尻から下肢にかけて痛みが生じます。
脚のしびれや感覚障害
神経根の圧迫によって足や足の指先のしびれや感覚の変化が生じます。
歩行困難や脚の弱さ
神経根の圧迫によって脚の筋力低下や歩行困難が生じることがあります。
原因
腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、以下のようなものがあります。
加齢による変性
脊椎の組織の変性や退行性変化によって脊柱管が狭くなり、神経への圧迫が生じることがあります。
椎間板ヘルニア
椎間板の脱出や膨らみによって脊柱管が狭くなり、神経根への圧迫が生じることがあります。
脊椎の変形
脊椎の後弯(後方への湾曲)やすべり症(脊椎の変位)によって脊柱管が狭くなり、神経への圧迫が生じることがあります。
診断
診断は、問診および画像検査(MRIやCTスキャン)によって行われます。
画像検査は、脊柱管の狭窄や神経への圧迫の程度を確認するために行われます。
治療
治療の目的は、神経の圧迫を軽減し、症状の緩和や機能の回復を図ることです。
保守的療法
休息、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、物理療法、温熱療法、痛みの管理などが含まれます。
手術療法
保守的な治療で効果的が薄い場合や、神経への圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には脊柱管拡大術や椎間板摘出術などがあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニア(ようついせきかんばんヘルニア)は、腰椎(背骨の下部)の椎間板が変形や損傷し、内部のゼリー状の核が椎間板の外側に飛び出してしまう状態です。
この飛び出した椎間板の部分が神経根や脊髄を圧迫し、痛みや神経症状を引き起こすことが特徴です。
症状
腰椎椎間板ヘルニアの症状は、以下のようなものがあります。
腰から臀部や下肢にかけての痛み(放射痛)
神経根の圧迫によって腰から臀部や太もも、下腿、足にかけて痛みが生じます。
足のしびれや感覚障害
神経根の圧迫によって足や足の指先のしびれや感覚の変化が生じます。
筋力低下や筋肉の萎縮
神経根の圧迫によって足や足の指先の筋力低下や筋肉の萎縮が生じることがあります。
原因
腰椎椎間板ヘルニアの主な原因は、以下のようなものがあります。
加齢による変性
椎間板の組織が加齢に伴って劣化し、弾力性や耐久性が低下することでヘルニアが生じることがあります。
外傷や怪我
腰部への急激な負荷によって椎間板が損傷し、ヘルニアが生じることがあります。
姿勢の問題や姿勢の負荷
不適切な姿勢や長時間の同じ姿勢での負荷がかかることで、椎間板に異常な圧力がかかり、ヘルニアが生じることがあります。
診断
診断は、問診および画像検査(MRIやCTスキャン)によって行われます。
画像検査によってヘルニアの部位や大きさが確認されます。
治療
治療の目的は、神経の圧迫を軽減し、症状の緩和や機能の回復を図ることです。
保守的療法
休息、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、物理療法、温熱療法、痛みの管理などを行います。
手術療法
保守的な治療で効果が薄い場合や、神経への圧迫が重度である場合に検討されます。
手術には椎間板摘出術や神経根圧迫の解消が行われます。