背部痛とは
背中の痛みの原因としては、様々な内科的な疾患が考えられます。痛みの位置や性質によって、特定の病気が予測できます。
右背中(右背部痛)が痛い
肝臓疾患(肝炎・急性肝炎・
肝がん)
原因
ウイルスや多量のアルコール摂取、薬剤性、針刺し、性行為、遺伝性などが挙げられます。
症状
- 発熱
- 食欲不振
- 吐気・嘔吐
- 腹痛
- 黄疸
- 浮腫
- 尿の濃染
- 皮下出血
- 腹部違和感
胆のう疾患(胆石・胆のう炎・
胆のうがん・胆肝がん)
原因
胆石は食べ過ぎ、脂肪分の過剰摂取、肥満、ストレス、不摂生などが挙げられます。
胆嚢炎は、胆嚢内に胆汁の流れを妨害する物質があり、細菌が繁殖することによって引き起こされると考えられています。
症状
- 黄疸
- 吐気・嘔吐
- 尿の濃染
- 白い便が出る
- 下血
- 下腹部から右脇腹にかけての激しい痛み
原因不明
ストレスなどが原因として挙げられます。
左背中(左背部痛)が痛い
胃疾患(胃潰瘍・胃炎・
神経性胃炎)
原因
暴飲暴食やストレス、内服薬の副作用などの刺激やアレルギー感染によって、以下のような症状が引き起こされる可能性があります。
症状
- 胸やけ
- 胸や胃のむかつき
- 吐気
- 嘔吐
- ゲップ
- 吐血・下血
心疾患(狭心症・心筋梗塞)
原因
加齢や不規則な生活習慣によって、冠状動脈の血管壁にコレステロールが蓄積し、血管内径が狭くなることがあります。
これにより血液の流れが制限され、心臓への血液供給が不十分になる状態が狭心症です。
血管の狭まりは、高血圧、糖尿病、高脂血症などによる動脈硬化が主な原因です。
心筋梗塞は、動脈硬化や血管内のプラークと呼ばれる脂肪の塊が破れ、それによって冠状動脈が血栓で閉塞することにより心臓への血液供給が途絶える状態を指します。
症状
- 背中の左側~左下の痛み
- 動悸
- 息切れ
- 呼吸困難
- 不整脈
- 頭痛
- 吐気・嘔吐
- 顔面蒼白
- 冷や汗
- 除脈
- 血圧の低下
膵臓疾患(膵炎・膵がん)
原因
急性膵炎の原因はアルコールの摂取により脾臓に刺激が与えられ、膵液の分泌が盛んになり、脾臓に過度な負担がかかることで膵炎になります。また、胆石が膵管の出口にて膵液の流れを塞ぎ膵炎になる場合もあります。
症状
- みぞおち~左脇腹上部にかけての痛み
- 黄疸
- 吐気・嘔吐
- 下痢
- 便秘
上記の症状が重症化すると顔面蒼白が起こり、意識障害や血圧の低下などを招く可能性があります。
背中中央(中央背部痛)が
痛い
帯状疱疹
ウイルス感染による疾患では、帯状疱疹のように神経に沿って症状が現れることがあります。
そのため、背中の神経にも痛みや不快感が現れる可能性があります。
急性腎炎
背中を叩いてみて、響くような痛みがある場合は、腎結石や腎炎の可能性が考えられます。
腎結石は、腎臓内で結晶が形成され、尿路に沿って下行する過程で痛みを引き起こす状態です。
腎炎は、腎臓の炎症を指し、通常は細菌感染によるものです。
原因不明
ストレスなどが原因として挙げられます。
背部痛の検査
尿検査
泌尿器系の病気を疑う場合、尿検査は非常に重要です。
尿中に白血球や赤血球が見られる場合、尿管結石や腎盂腎炎などの泌尿器科系の疾患が原因である可能性が高いです。
また、腎盂腎炎の場合には、尿検査を通じて細菌の有無や種類を調べることができます。
採血検査
採血検査において、整形外科分野の疾患では通常、顕著な炎症反応は認められません。しかし、消化器系、泌尿器科系、および血管系の疾患では、何らかの異常が血液検査で現れる場合があります。
前立腺がんを疑う場合、PSA(前立腺特異抗原)検査が行われます。
PSAは前立腺に産生されるタンパク質であり、前立腺がんの存在や進行度を確認するために測定されます。
膵炎を疑う場合、アミラーゼなどの酵素の上昇がないかなどを検査します。
超音波検査
超音波検査は体に害がなく安全な検査でありながら、非常に多くの情報を得ることができます。
腎臓や尿管、膵臓、前立腺などの疾患においても、超音波検査によって詳細な情報を得ることができます。
レントゲン検査
レントゲン検査は、短時間で撮影が可能であり、被曝量が比較的少なく安全な検査方法です。この検査によって多くの情報を得ることができます。
特に泌尿器系の疾患においては、尿管結石の診断において非常に有効です。
また、整形外科においてもレントゲン検査は一般的な検査であり、異常が見られた場合にはCT検査などの追加検査を行うことがあります。
CT検査
CT検査は、わずかな放射線被曝はあるものの、詳細な情報を得るための検査です。
尿管結石の大きさや位置、水腎症による尿管や腎盂の状態、大動脈の太さ、前立腺がんの骨転移の有無、膵臓や肺の詳細な状態など、さまざまな情報を確認することができます。
もし背部痛を感じたら
当院にご相談ください
もし背部痛を感じた場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが必要です。
背部痛は、身体が発する重要なサインであり、そのサインを見逃さずに早期に発見し、早期治療に繋げることが大切です。